2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属クラスターを活性中心に用いる低分子人工金属酵素の開発
Project/Area Number |
20037040
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大嶋 孝志 Osaka University, 大学院・基礎工学研究科, 准教授 (10313123)
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Keywords | アミド結合 / 金属クラスター / アシル化反応 / アセチル化反応 / フラン環構築反応 / 酵素モデル / 環境調和性 / 協奏機能触媒 |
Research Abstract |
生体内での複雑な生科学反応を制御し生命現象の中心的な役割を担っているアミド結合の形成と切断を、人工金属クラスターを活用することで自在に制御することを目的とし研究を行った。多核金属酵素であるアミノペプチダーゼの機能モデルとして開発した亜鉛四核クラスター触媒が、非常に高い酸素親和性を示すことを見いだし、エステル基と水酸基の同時活性化によって、これまで困難とされていたアミノアルコールの水酸基選択的アシル化反応を効率的に促進することが分かった。また、本触媒系を環境調和型触媒的アセチル化反応やフラン環構築反応へと展開することにも成功した。さらに、アミノアルコールとしてβ-アミノアルコールを用いると、水酸基選択的なアシル化反応の後にO→N-アシル転移反応によって、選択的にβ-ヒドロキシアミドへと変換できることを見いだし、様々な生物活性化合物を容易に合成することが可能となった(論文投稿準備中)。クラスター中の配位子を変換し触媒のルイス酸性の効果を検討したところ、反応によって適切な配位子が異なること、エステル交換反応の場合は酸性度が高すぎても低すぎても良くないことがわかった。この結果は、亜鉛クラスター触媒がルイス酸およびブレンステッド塩基として機能する協奏機能型の触媒であることを支持している。単純アミンのアミド化反応に関しては、セリンプロテアーゼの機能モデルとして開発した金属アルコキシドが、穏和な条下で非常に収率良くエステル-アミド交換反応を触媒することを見いだした(論文投稿準備中)。現在さらなる触媒活性の向上とアミド結合切断反応への展開を検討している。
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