2008 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属-典型金属協奏作用に基づく立体選択的環化反応
Project/Area Number |
20037045
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生越 専介 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (30252589)
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Keywords | ニッケル / ルイス酸 / カルボニル基 / 酸化的環化 |
Research Abstract |
N-ベンゼンスルホニルフェニルイミンの配位したニッケル(0)錯体とジフェニルアセチレンとの反応は効率よく進行し、5員環アザニッケラサイクルを定量的に与えた。この錯体は、イミン、アルキン、Ni(cod)_2、PCy_3を一度に反応させても定量的に得られた。トリメチルアルミニウムとの反応を検討したところ、金属置換反応が進行したと考えられる5員環アザアルミナサイクルが得られた。この5員環アザアルミナサイクルも触媒量のニッケル錯体存在下、三成分環化反応により効率よく得られた。アザアルミナサイクルの構造はX線結晶構造解析により決定した。一連の反応は、アルミニウムの反応性の特徴が顕著に現れており、非常に興味深い結果であると思われる。本反応は、他のアルキン類にも適用することも可能であったがその場合はイミンに対して1.2-付加した化合物も生成してきた。この1.2-付加反応は、ニッケル錯体が存在しなくてもゆくりと進行するが、アルミナサイクルを与える反応と競争するほどの速度ではない。しかし、触媒量のニッケルが存在する場合には十分に競争反応となる速度で進行する。この1.2-付加体の生成を避けるには、トリメチルアルミニウム反応系中におけるトリメチルアルミニウムの濃度を下げてやると解決できる。実際に、シリンジポンプを用いてゆっくりと滴下することで1.2-付加体の生成を抑制できた。さらに、アルデヒドを基質とする反応系に対しても本反応が適用できることが分かった。この際には、アルデヒドと等量のジメチルアルミニウムトリフラートが必要であった。
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