2008 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質マトリクスを利用した新規生体金属触媒の創製と小分子の活性化
Project/Area Number |
20037049
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 高史 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (20222226)
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Keywords | 蛋白質 / 酵素 / ヘムタンパク質 / 触媒 |
Research Abstract |
生体分子を配位場として用いた金属錯体の構築は、複雑な金属タンパク質のメカニズム解明に対して有用であるだけでなく、水中で働く環境負荷軽減型触媒の開発として極めて興味深いテーマである。本申請研究では、ヘムタンパク質のヘムポケット及びメタロチオネインの含システインαドメインをそれぞれ金属イオンの配位場として利用して、配位子のファインチューニングをしながら、新しい人工金属タンパク質を構築し、生体金属触媒としての応用をめざした。具体的には、まず、ヘムタンパク質の高機能化としては、ミオグロビンの天然ヘムを除去したアポ体に高い酵素活性が期待されるコロール鉄錯体を挿入し、高酸化触媒活性の獲得を試みた。その結果、天然のミオグロビンに比べて200倍以上も酸化触媒活性が上昇し、鉄コロール錯体が優れた補欠分子であることが判明した。さらに、その錯体化学的知見を得るために、NMRやEPRなどの分光手法を用い、その解析を現在進行中である。一方、もう一つのテーマとして、メタロチオネインのモチーフを合成し、メタロチオネイン鉄クラスターの合成を実施した。まだ、完全な構造的知見は得られていないが、メタロチオネインマトリクス中に4核鉄クラスターが構築されたことが明らかとなり、次年度に向けて得られた生体金属分子の触媒活性評価を開始している。
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