2008 Fiscal Year Annual Research Report
特異な水素結合反応場をもつ不斉触媒系の設計とその応用
Project/Area Number |
20037050
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
網井 秀樹 Kobe University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00284084)
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Keywords | 有機化学 / 有機工業化学 / 有機合成化学 / 不斉触媒反応 / 不斉触媒配位子 |
Research Abstract |
触媒的不斉合成は光学活性有用化合物の合成に非常に効果的なプロセスであるため、世界中で活発に研究が行なわれている。新しい不斉配位子の開発、新しい反応媒体の利用は大きな注目を浴びる研究領域である。特に、複数の相互作用を巧みに組み合わせた協奏機能触媒系は、一般的な触媒的分子変換反応において、その応用が大いに期待される。本研究では、分子内に水素結合部位を有する新しい触媒配位子の開発を目指した。 ビス(トリフルオロメチル)カルビノール部位を有する新規ビナフチル配位子の合成を行なった。光学活性BINOLを出発原料として用いるルート、すなわち、BINOLの2つのフェノール性水酸基を別々に官能基変換し、エステル及びホスフィンオキシド部位を有するビナフチル化合物に誘導した。そのエステル部位に対し逐次的にトリフルオロメチル基を導入し、最後にホスフィンオキシド部位を還元することによって、目的の光学活性ホスフィン配位子(1)を、光学純度を失うことなく得ることに成功した。 フッ素系アルコール部位を有する軸不斉ホスフィン(1)の不斉触媒としての応用を種々検討した結果、アルデヒドの不斉フェニル化反応に有効であることがわかった。触媒量の「軸不斉ボスフィン配位子(1)を有するロジウム錯体」の存在下、アルデヒドとフェニルボロン酸との炭素-炭素結合形成反応を行なうと、最高82%の不斉収率で、目的の光学活性ジアリールメタノールを得ることに成功した。
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