2009 Fiscal Year Annual Research Report
特異な水素結合反応場をもつ不斉触媒系の設計とその応用
Project/Area Number |
20037050
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
網井 秀樹 Kobe University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00284084)
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Keywords | 有機化学 / 有機工業化学 / 有機合成化学 / 不斉触媒反応 / 不斉触媒配位子 / フッ素化合物 |
Research Abstract |
触媒的不斉合成は光学活性有用化合物の合成に非常に効果的なプロセスであるため、世界中で活発に研究が行なわれている。新しい不斉配位子の開発、新しい反応媒体の利用は大きな注目を浴びる研究領域である。特に、複数の相互作用を巧みに組み合わせた協奏機能触媒系は、一般的な触媒的分子変換反応において、その応用が大いに期待される。本研究では、分子内に水素結合部位を有する新しい触媒配位子の開発を目指した。 BINOLから誘導したビス(トリフルオロメチル)カルビノール部位を有する軸不斉ホスフィン配位子(1)の不斉触媒としての応用を種々検討した結果、アルデヒドの不斉フェニル化反応に有効であることがわかった。触媒量の「軸不斉ホスフィン配位子(1)を有するロジウム錯体」の存在下、アルデヒドとフェニルボロン酸との炭素-炭素結合形成反応を行ななった。非常に多くの試行実験を行なった結果、最高92%の不斉収率で、目的の光学活性ジアリールメタノールを得ることに成功した。 さらに新規に、新しい芳香族トリフルオロメチル化剤の探索を行なった。その結果、シリル化トリフルオロメチルヘミアミナールが有効に働くことを見出した。本クロスカップリング反応は、1) 入手・合成容易な化合物をトリフルオロメチル化剤として用いる点、2) 触媒量の銅錯体を用いて反応が完結する利点を有する。
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