2008 Fiscal Year Annual Research Report
シクロリン酸配位子をプラットフォームとする多核金属錯体触媒の開発
Project/Area Number |
20037060
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
石井 洋一 Chuo University, 理工学部, 教授 (40193263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 雄一郎 中央大学, 理工学部, 助教 (50453676)
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Keywords | シクロホスファト / ルテニウム錯体 / ビニリデン錯体 / 内部アルキン / 転位能 |
Research Abstract |
分子性金属錯体を不均一系金属担持触媒の分子モデルとして利用する観点から、ヒドロキシアパタイト担持金属触媒と類似した構造を持つシクロホスファト錯体の反応性は興味深い。今年度は、昨年度の研究で見出された(PPN)[Ru(P_3O_9)(MeOH)(dppe)](1)と内部アルキンからビニリデン錯体が生成する新規反応について、反応機構を中心に検討を行なった。まず反応中間体と考えられるη^2-アルキン錯体が単離可能な(PPN)[Ru(P_3O_9)(EtC=CCOOEt)(dppe)](2a)を用いて反応速度の解析を試み、η^2-アルキン錯体2aからビニリデン錯体3aへの異性化が錯体濃度に対して一次反応であることを確認した。また、種々の置換アルキンを用いた反応の過程で置換基のスクランブリングが認められなかったことから、本転位反応がη^2-アルキン錯体上での炭素置換基の1, 2-シフトで進行していると結論した。続いて、^<13>C標識置換ジフェニルアセチレンを用いて置換基の電子的性質が転位能に与える影響を系統的に調べたところ、本反応におけるアルキン上の炭素置換基の転位能の序列はCO_2Et, C_6H_4CO_2Et-p>Me>Ph>C_6H_4Me-p>C_6H_4OMe-pであると結論された。有機化学で一般的な炭素置換基の求核的転位では、電子供与性基がパラ位にあるときアリール基の転位能は増大することが知られている。興味深いことに、本反応における転位能の序列は求核的な転位反応における転位能の序列と全く逆であった。すなわち、本反応は有機化学ではほとんど知られていない炭素置換基の求電子転位によって進行していることが示唆された。
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