2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20037063
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
引地 史郎 Kanagawa University, 工学部, 教授 (10282857)
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Keywords | 固定化錯体触媒 / 酸化触媒 / キレート配位子 / 過酸化水素 / 鉄 / ニッケル / 分子設計 / エポキシ化 |
Research Abstract |
機能集積型協奏機能触媒の開発を目指し、 (1) 天然の高性能触媒である酵素に類似した配位環境、 (2) 触媒失活の主な要因である金属溶出の無い高い配位能、 (3) 共有結合による担体との固定化、を実現するアニオン性キレート配位子を設計し、これを無機酸化物担体上に固定化した新規固定化錯体触媒を開発した。Fe (III) イオンを導入した固定化錯体触媒では、 (1) 固定した配位子とほぼ等量のFe (III) が固定されていること、 (2) 配位子で修飾したシリカ上に担持したFe (III) イオンはアルカリ水溶液や過酸化水素による処理でも溶出しないことが明らかになった。そこで過酸化水素水を酸化剤とするオレフィン酸化反応に対する触媒活性を検討し、金属イオンを溶出させることなく固体触媒として機能することを確認した。 さらにキレート配位子の分子構造が触媒活性に及ぼす影響を解明することを目的として、ホウ素上のアルキル置換基の炭素鎖長が異なる2種類の配位子固定化担体を調製し、ニッケルイオンを導入した。固定化ニッケル錯体触媒の呈する色は炭素鎖長に応じて異なり、しかもアルデヒドを還元剤とするオレフィンの酸素酸化反応に対する触媒活性も異なっていることが明らかになった。長鎖アルキル基を導入したニッケル触媒は低スピン型Ni (II) 平面4配位種に典型的な黄色を呈しており、全く触媒活性を示さなかったのに対し、炭素が1個のみのメチル基を導入した触媒は高スピン型Ni (II) 5配位種に典型的な緑色を呈しており、触媒活性を示した。以上の結果は、金属とは直接相互作用しないホウ素周辺の立体的環境の違いが、金属に配位している2つのイミダゾリル基の配向のわずかな差異を誘起し、その結果金属中心の配位構造および電子配置に変化を生じたためであると推察される。
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Research Products
(4 results)