2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20037064
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
濱島 義隆 The Institute of Physical and Chemical Research, 袖岡有機合成化学研究室, 専任研究員 (40333900)
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Keywords | 不斉触媒反応 / 二重活性化 / パラジウム / ニッケル / 酸化 / マンニッヒ反応 / フッ素化 / クロロ化 |
Research Abstract |
カチオン性遷移金属錯体が酸・塩基触媒として作用するという独自の知見に基づき、エノラートと酸性成分の共同作業を反応開発の指針とする研究を行い、以下のような新反応の開発に成功した。 1)キラルエノラートとプロトン酸の共同作業:酸性条件で生成するエノラートの特徴を活かし、プロトン酸で活性化される反応剤としてアセタールを利用する新規不斉触媒反応を開発した。この反応のメカニズム解析をもとに中間体を酸化的に生成させる別法を新たに考案し、高選択的な不斉酸化的マンニッヒ反応を開発した。また、アミン塩とホルマリを用いた活性メチン化合物のアミノメチル化反応が良好な収率およびエナンチオ選択性で進行することを見出した。 2)キラルエノラートとルイス酸の共同作業:ニッケル触媒、アキラルなルイス酸、および適切な塩基からなる三成分活性化系を用いることで、アリーレ酢酸誘導体のモノフッ素化か円滑に進行することを報告している。比較実験から、本反応では3つの成分が協調して反応剤を活性化していることが示唆された。本年度は、反応の基質一般性を拡大する目的で様々な添加剤や基質の構造を検討した。また、ルイス酸で活性化されると期待できる様々な反応剤との反応を検討した。その中で、クロロ化が円滑に進行することを見出した。これはカルボン酸誘導体に適用できるクロロ化としては極めて稀な例であり、今後の発展が期待される。現在、基質一般性および不斉収率の改善を検討中である。 3)カウンターアニオンの反応性に期待した金属錯体の合成と骨格構築反応・:酸性条件でのエノラートの適用範囲を拡大する目的で、金属触媒の対アニオンに注目した検討を行った。弱酸の共役塩基が塩基として作用し、中心金属と協調的にカルボニル化合物を活性化すれば、弱酸の遊離を伴うキラルエノラートの生成が実現できる。新たにカウンターアニオンとしてアセテートイオンや水酸化物イオンを有する錯体を調製し、カルボニル化合物との反応を検討した。
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