2008 Fiscal Year Annual Research Report
高周期元素メタロアロマティシティーの実験的及び理論的検証
Project/Area Number |
20038006
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
関口 章 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (90143164)
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Keywords | 芳香族化合物 / 高周期14族元素 / メタロアロマティシティー / シクロブタジエン / 理論計算 / 遷移金属錯体 |
Research Abstract |
本研究では、芳香族化合物の中で最も基本的な化合物である高周期14族元素シクロプロペニリウムイオンなどの一連の芳香族性高周期14族元素化合物の化学を実験的に展開し、理論計算との連携によりメタロアロマティシティーの概念を構築することを目的とした。 1. 骨格が全てケイ素からなる不飽和三員環化合物シクロトリシレンの合成を検討した。^tBu_2MeSi基を置換基とするジリチオシランと0.5当量のテトラブロモジシラン^tBu_3SiSi(Br_2)Si(Br_2)Si^tBu_3との反応で新規なシクロトリシレンを橙色の結晶として合成・単離することに成功した。X線結晶構造解析により、このシクロトリシレンの二重結合上の置換ケイ素原子は三員環とほぼ同一平面内にあり、平面性の高いケイ素-ケイ素二重結合を含むシクロトリシレンであることが分かった。また、その立体的影響が飽和ケイ素上の置換基にまで及び、飽和ケイ素上の置換基とのケイ素-ケイ素結合長は著しく伸長していた。骨格がケイ素原子2個と炭素原子1個からなる不飽和三員環の合成も検討した。嵩高い^tBu_3Si基を置換基とするジリチオシランとアダマンチル置換またはtert-butyl置換酸塩化物との反応で対応するジシラシクロプロペンを合成することに成功した。 2. 合成した不飽和三員環化合物シクロトリシレン及びジシラシクロプロペンを前駆体として高周期14族元素三員環芳香族化合物の合成を行った。シクロトリシレンとPh_3C^+Ar_4B^-をトルエン中で反応させることによりシクロトリシレニリウムイオンを対応するAr_4B^-塩として合成することことに成功した。また、同様な酸化的脱離反応で対応するジシラシクロプロペニリウムイオンも合成することにも成功した。これらの化学シフト値は溶媒、対アニオンに依存せず一定であり、これらのカチオン種は溶媒とも対アニオンとも相互作用の無い、フリーなケイ素カチオン種であることが分かった。また、X線結晶構造解析によってこれらの分子構造を決定した。
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