2008 Fiscal Year Annual Research Report
かご状シロキサン化合物の分子内反応に関する理論的研究
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20038009
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| Research Institution | Gunma University |
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Principal Investigator |
工藤 貴子 Gunma University, 大学院・工学研究科, 教授 (10137911)
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| Keywords | シルセスキオキサン / POSS / 分子内反応 / 水素分子生成反応 / ab initio MD / 分子動力学 / 分子軌道法 |
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| Research Abstract |
ケイ素原子と酸素原子が交互に並ぶシロキサン結合から構成されるかご状シルセスキオキサン、[(RSiO1.5) n : n≧4]は、優れた機能性分子として以前から多くの注目を集めて来た。申請者はこれらの化合物の更に新しい機能性を探るための研究の一環として、特に最近では水素貯蔵能に着目して水素挿入反応について研究を行った。その結果、柔軟なシロキサン結合骨格を有するかご状シルセスキオキサン化合物は水素貯蔵分子としての望ましい資質を持つことが解ってきた。そこで、本研究では更に進んで、水素分子生成のための応場提供子しての可能性を探るためかご内部での水素分子生成機構に注目し、従来の量子化学計算に加えて分子動力学の手法も用いて明らかにすることを目的とした。
立方体型のT8とそれより大きいサイズとより複雑な構造を持つT12(D2d)のかご内部へ水素原子を段階的に挿入して水素分子形成過程を調べた。二番目の水素原子挿入の初期条件はそれぞれ2つで、(1)水素原子挿入め遷移状態かち内部へそっと押し込む、および(2)水素原子挿入面から2.5Aの距離から水素原子挿入のエネルギー障壁より少し大きな運動エネルギーを与えてかごに衝突させる、を採用した。その結果、(1)の初期条件では両方のPOSSで2つの水素原子が激しく衝突しながら次第に分子形成に至る様子が観測されたが、(2)の条件では、単純な筒型構造のT8では最初に内包されていた水素原子が挿入して来た水素原子と衝突した後かごの外に押し出されてしまった。よって、かご内部での分子生成反応はかごの大きさだけではなく形状にも依存することが解った。更に、かご骨格入のエネルギー移動はかごのサイズが大きくなると遅くなり、より小さなT8でも期待していた程反応は進行しない。そこで、このエネルギー移動をよりスムーズに行わせるための方法が今後の課題である。
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