2008 Fiscal Year Annual Research Report
トリアニオン化学の創成と高周期異核三重結合化合物への展開
Project/Area Number |
20038010
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
斎藤 雅一 Saitama University, 理工学研究科, 教授 (80291293)
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Keywords | m-テルフェニル型置換基 / トリス(トリメチルスタンニル)スタンナン / トリス(トリメチルシリル)スタンナン / リチオ[ビス(トリメチルスタンニル)]スタンナン / リチオ[ビス(トリメチルシリル)]スタンナン |
Research Abstract |
当研究室は既にかさ高いm-テルフェニル型置換基を有するトリス(ジメチルシリル)スタンナンを合成し、そのトランスメタル化反応によってトリアニオン等価体であるトリリチオスタンナンの発生に成功している。このようなトリアニオン種の構造には非常に興味が持たれるものの、トランスメタル化後にポリマー状の化合物が生成するため、現在のところ、その単離には至っていない。そこで本研究では、ジメチルシリル基の換わりにトリメチルスタンニル基やトリメチルシリル基を用いると反応がきれいに進行するのではないかと考え、トリス(トリメチルスタンニル)スタンナン及びトリス(トリメチルシリル)スタンナンを合成し、そのトランスメタル化を検討した。 THF中、かさ高いm-テルフェニル型置換基を有するアリールトリクロロスタンナンと塩化トリメチルスズに金属マグネシウムとトリエチルアミンを加え、室温で撹拌すると、トリス(トリメチルスタンニル)スタンナンを収率42%で得た。 得られたアリールトリス(トリメチルスタンニル)スタンナンに室温で過剰量のメチルリチウムを加え、2時間撹拌した。これに過剰量のヨードメタンを加えると、アリールトリメチルスタンナンが収率68%で得られた。従って、反応系中にはトリリチオスタンナンが生成していることが明らかになった。しかし、アリールトリス(トリメチルスタンニル)スタンナンとメチルリチウムとの反応混合物を再結晶し、得られた結晶のX線構造解析を行ったところ、生成物はトリリチオスタンナンではなく、リチオ[ビス(トリメチルスタンニル)]スタンナンであった。トリス(トリメチルシリル)スタンナンとメチルリチウムの反応でも同様な反応が起こり、リチオ[ビス(トリメチルシリル)]スタンナンを得た。
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