2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20038016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中嶋 隆人 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (10312993)
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Keywords | 理論化学 / 相対論的分子理論 / 大規模分子理論 |
Research Abstract |
これまでわれわれが独自に開発をすすめてきた大規模分子理論をさらに発展させ展開することで, 次世代スーパーコンピュータの性能を十分発揮できるような大規模分子理論とそのプログラムパッケージを開発している. 目標は, 数千原子から数万原子を含む分子系という大規模な分子系の第一原理計算を可能にすることである. 大規模な分子計算の実現には, 計算機の並列化計算が必要となってくる. われわれが開発してきた大規模分子理論は, 系のサイズの増加に対しリニアなスケーリングを示す理論である. それと同時に並列化効率が悪い直接対角化などの計算が不要であるため, 理論上計算機の並列化効率が非常によいものになっている, 例えば, 現在のところGFC法はSMP計算機に対するQpen MPによる並列化しか実装していないが, 得られている結果から外挿すると, 600残基のタンパク質であるインスリンの12量体(9522原子)のDFT計算を32CPUの並列化により2日, 512CPUの並列化では3時間で計算することが可能になる. この大きさの分子計算は, これまでに第一原理計算されたもっとも大きな分子の2倍にあたり, その計算が32CPUで3週間程度かかっていることを考えると大規模分子のシミュレーションに大きな進歩をもたらすことになる, massiveな並列計算機に対するGFC法およびDual-1evel DFT法の並列アルゴリズムを完成させ, プログラムに実装することで, 数万原子系の第一原理計算という未踏の理論計算を実現したい.
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