2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20038017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 恒夫 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (30345095)
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Keywords | 表面・界面物性 / 触媒・化学プロセス / 計算物理 |
Research Abstract |
金属、あるいは半導体表面・ナノ粒子に吸着した分子系(以下、表面吸着分子系)や、固液界面での電子励起と電子(正孔)移動反応は、電極反応、光触媒、太陽電池、STM化学の中心的プロセスである。本研究では素過程として、表面界面での(電気化学的)電子移動と(非断熱)反応動力学について理論手法の開発を行い、計算の適用と機構の解明を目的としている。H20年度は、固液界面での特異的励起状態として、溶媒和電子状態の物性に焦点をあて、理論的解明を試みた。 酸化チタン表面と極性溶媒、特に水の場合、水は界面第一層ではice型の秩序構造をとっており、表面を光励起させた場合、バルク電子の電子移動励起による溶媒和電子が形成されることが実験により明らかになっている。実在系では固体表面は欠陥サイトが存在し、大気中の水が吸着している場合が多いので、表面触媒では通常何らかの形で水(溶媒)が関与する。従って、界面光触媒作用などにおいて、溶媒和電子の性質は非常に重要である。我々は第一原理計算をもとに、溶媒和電子状態や水素結合強度のモデル理論を組立て、その定性的性質を明らかにした。 特に、水が、分子吸着した場合、解離吸着した場合、及びTiO2表面に酸素欠陥がある場合、ない場合それぞれについて、溶媒和電子分布密度と水素結合強度について強い相関があり、この相関が、界面溶媒和電子の生成機構がバルク溶媒での溶媒電子と非常によく似ていることが初めて定量的に示すことに成功した。これは、界面溶媒和電子の反応性を、バルク溶媒和電子との対比から解析することの可能性を示しており、今後の発展が見込まれる。
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Research Products
(2 results)