2008 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質凝集体モデル結晶の水和構造とゆらぎ-理論と実験のコラボレーション
Project/Area Number |
20038019
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
玉井 良則 University of Fukui, 工学研究科, 准教授 (50324140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古石 貴裕 福井大学, 工学研究科, 准教授 (20373300)
今野 卓 福井大学, 医学部, 准教授 (50225637)
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Keywords | 蛋白質 / 計算物理 / 化学物理 / シミュレーション / 生物物理 / アミロイド線維 / 結晶 / 水和 |
Research Abstract |
アミロイド線維に代表される蛋白質凝集体は, アルツハイマー病をはじめとする種々の疾患の原因となる。凝集体形成のメカニズムや生理活性物質との相互作用を解明するためには, 分子理論に基づいた物理化学的な観点からの研究が欠かせない。本研究では, 蛋白質凝集体を一次元あるいは二次元に広がった"結晶"としてモデル化し, 凝集体表面の水和構造とゆらぎを分子動力学(MD)シミュレーションにより解明する。折から, 実験化学の立場からも, アミロイド線維をモデル結晶の観点から解析する試みが始まっている。この好機をとらえ, 理論と実験のコラボレーションとして本研究を実施する。アルツハイマー病の原因となるタウ蛋白をはじめとする各種蛋白質について, 部分鎖結晶モデルを構築し, 表面の水和構造とゆらぎを水素結合ネットワークの構造とダイナミックスの観点から詳細に検討する。理論と実験の立場を超えた共通認識のもとに, 凝集体表面の水和構造とゆらぎの一般的概念を確立する。 本年度は, アルツハイマー病の原因となるタウ蛋白質の部分鎖モデル結晶を, 研究の対象とした。部分鎖モデル結晶と水との界面モデルについて, 分子シミュレーションを行い, 結晶表面の水和構造とゆらぎを水素結合ネットワークの観点から解析した。水素結合数分布, 水素結合相関関数, 水分子の配向緩和時間などを精度良く計算し, 蛋白質凝集体の水和現象をエントロピーなどの要素に分けて解析した。また, 分担者により分子生理学的実験を並行して進め, シミュレーションと実験の両面から, モデル結晶の水和構造とダイナミックスに関して考察を進めた。種々の結晶モデルについて検討したところ, 2枚の結晶に挟まれた領域で, 水分子の運動性が大きく抑制されていることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)