2008 Fiscal Year Annual Research Report
多層カーボンオニオンおよびナノチューブにおける分散力の量子化学的研究
Project/Area Number |
20038023
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
IRLE Stephan Nagoya University, 高等研究院, 特任准教授 (00432336)
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Keywords | quantum chemistry / SWCNT bundles / sidewall-sidewall interactions / disnersion forces / acetone adsorption |
Research Abstract |
以前、我々は小さな直径を持つ(6, 5)または大きな直径を持つ(11, 9)カイラルの単層カーボンナノチューブの内側および外側に吸着したアセトン分子の相互作用エネルギーを計算し、吸着エネルギーはナノチューブ内側の吸着の場合には側壁の曲率に強く依存し、一方でナノチューブ外側の吸着の場合にははっきりとした依存性は見られなかったということを発見した。小さな直径を持つナノチューブ内側での吸着が最も強く、その相互作用エネルギー△Eは-74.4kJ/molであった。反対にナノチューブ外側での吸着が最も弱く、(6, 5)の場合には△E=-24.6kJ/mol、(11, 9)の場合には△E=-26.3kJ/molであった。エネルギー的に最も好ましいアセトン分子の配置方法は、側壁に対し平行に配置する方法であった。ところで、実験によって100kJ/molを上回る物理吸着エネルギーに対応する普通でない高い脱着温度が測定された。これを説明するため、新たに2本のナノチューブからなる溝部分、3本のナノチューブバンドルからなる間隙部分、側壁に欠陥があるナノチューブの内側および外側で物理吸着されたアセトン分子の理論的シミュレーションを行った。計算の結果、75kJ/molを上回る相互作用エネルギーは観測されなかった。一方で、高圧・高温下での実験結果は、脱着には100〜225kJ/mol程度の障壁が存在することを示唆している。今回の結果では、分散力により引き起こされるバンドルでの強いナノチューブ-ナノチューブ結合が、アセトン分子にとって間隙部分を離れていくのに必要とされる高い障壁を容易に引き起こすことがまた示された。
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Research Products
(3 results)