2008 Fiscal Year Annual Research Report
過冷却液体の準安定相転移と物性の間の相互作用の理論研究
Project/Area Number |
20038024
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 正和 Nagoya University, 物質科学国際研究センター, 助教 (10283459)
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Keywords | ネットワーク物質 / トポロジー / 過冷却水 / 液液転移 / 相転移 / 液体構造 / ダイナミックス / 分子シミュレーション |
Research Abstract |
過冷却水に特徴的な、中距離秩序構造の構造要素(フラグメント)を調べる方法を考案し、これを過冷却下の様々な環境にある水の構造を区別するのに用いた。この結果、液液共存状態にある過冷却水において、2つの異なる構造成分が互いに大きなドメイン構造を形成していることを可視化することに成功した。同様な局所的安定構造は、よりシンプルなガラスのモデルであるKob-Andersenモデルにも存在し、構造と運動が密接にかかわっていることを明らかにした。また、疎水性溶質の周囲の水が、バルクの水とさほど構造が違わないことを明らかにした。一方、水が4℃以下に冷却すると通常の物質とは異なり膨張しはじめる原因について、現在広く信じられている不均一性を由来とするモデルは誤りで、膨張は極めて均一に起こることを示した。過熱された氷が均一核生成から融解過程に至る過程の詳細な解析を行い、氷の融解が単純な古典的核生成のモデルにあてはまらない、水特有の融解様式を持つことを明らかにした。水を過冷却すると膨張する原因を明らかにするために、分子内部のジオメトリを変化させた仮想的な水の分子動力学計算を行い、水の物性が分子内ジオメトリの変化に対し、極めて敏感に応答することがわかった。
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