2009 Fiscal Year Annual Research Report
高配位化学種と遷移金属が関与する複合電子系の反応設計と開発
Project/Area Number |
20038027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中尾 佳亮 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (60346088)
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Keywords | 遷移金属 / 高配位 / カルボシアノ化 |
Research Abstract |
物質・生命科学の基礎をなす有機合成化学は,革新的な新反応の開発・発見によって大きく発展してきた.例えば,不斉合成やクロスカップリング,オレフィンメタセシスは,すでに化学プロセスに革命を起こしている.そのような観点からわれわれは,ニトリルの炭素・シアノ基結合をニッケル触媒によって活性化・切断し,有機基とシアノ基をアルキンへ付加させるカルボシアノ化反応を世界に先駆けて報告した.反応効率の向上を目指してさらに検討した結果,ニッケル触媒とルイス酸触媒を併用することによって,カルボシアノ化反応の触媒活性を飛躍的に向上できること,またルイス酸触媒を用いない反応条件では全く反応しなかったアセトニトリルなどのシアン化アルキルのアルキンへの付加も達成した.本研究では,このように複数の金属触媒が協奏的に作用して,不活性な炭素-炭素結合を活性化する複合電子系の詳細を理諭計算によって高精度に予測・解明するとともに,その成果を実験化学的な検討にフィードバックすることによって,より高反応性,高選択性を有する触媒系を開発して標的触媒反応の高効率化と適用範囲の拡大,新反応の創製を実践している.平成21年度は,同触媒系によるカルボシアノ化反応の基質適用範囲の拡大を目指してさらに検討をすすめた.カルボニルーシアノ基結合に不飽和化合物を挿入させてシアノ基とカルボニル基を同時に導入できれば,高度に官能基化された化合物を一挙に合成できる.われわれは,シアノギ酸エステルを不飽和化合物に分子間付加させるシアノエステル化反応をすでに報告しているが,シアノギ酸アミドを不飽和化合物に付加させるカルバモイルシアノ化反応の報告例は,パラジウム触媒を用いる分子内反応に限られていた.本研究では,Ni/BPh_3触媒を用いることによって,アルキンの立体および位置選択的分子間カルバモイルシアノ化反応を初めて達成した.シアノ基がBPh_3に配位した酸化的付加体のX線結晶構造解析にも成功し,反応中間体と触媒サイクルに関する詳細な知見も得ることができた.
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Research Products
(5 results)