2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20038028
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 徹 Kyoto University, 福井謙一記念研究センター, 准教授 (70303865)
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Keywords | 振電相互作用 / ヤーン・テラー効果 / フラーレン / ナノチューブ / 電子-格子相互作用 |
Research Abstract |
有機EL素子において発光材料・電子輸送材料として知られているAlq3にはC3対称をもつものとC1対称をもつ2つの異性体が共存している。本研究ではC3対称Alq3のアニオン状態ならびに励起状態がJahn-Teller系であることに着目し、そのキャリア輸送特性の解明を目指し、核状態間の重なり積分であるFranck-Condon因子を研究代表者らによりこれまでに導出されている動的Jahn-Teller問題の解析解を用いて求め、非Jahn-Teller系との比較を行った。Jahn-Teller系においては、動的Jahn-Teller効果により核波動関数は局在し、選択則の存在と相俟って、小さなFranck-Condon因子を与えることが分かった。また、軽アルケンを部分酸化する光触媒としられるVO4/SiO2の触媒活性機構について、振電相互作用理論に基づき解明した。励起状態ではバナジウムのd軌道を占有することでJahn-Teller効果が発現し、Jahn-Teller活性モードとMIOMOが相互作用することにより活性中心が誘起されることがわかった。これらの結果は振電相互作用が物性・反応の両面で重要な役割を果たしていることを示しており、このような観点が新規材料や反応の設計において有用であることを示唆している。
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Research Products
(9 results)