2008 Fiscal Year Annual Research Report
表面反応ダイナミックスにおける電子-格子相互作用の役割の解明
Project/Area Number |
20038033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 吉泰 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (70181790)
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Keywords | 触媒・化学プロセス / 表面化学 / フォノン / 表面・界面物性 / 反応制御 / 第2高調波発生 |
Research Abstract |
今年度は、金属表面における振動波束ダイナミックスを中心に研究を行った。 実験は、時間分解第2高調波発生(TRSHG)分光を用いて、電子-格子間の強い非平衡状態のもとでの振動ダイナミックスを観測した。対象とした吸着系は、主にK/Cu(111)であり、以下のことを明らかにした。 1. K-Cu伸縮振動の振動数はほとんど被覆率に依存しない。 2. 飽和吸着近傍で新たに低波数の振動成分を見いだした。 3. 第一原理計算によりこの新たな成分は、吸着構造変化によるというモデルを提出した。 4. SHGにおける電子応答の波形変化、およびコヒーレント振動によるSHGの原子核運動による応答の出現が、アルカリ金属吸着誘起表面状態(量子井戸状態)が占有され始める被覆率と軌を一にしていることを見いだした。 以上のことから、コヒーレント振動励起、およびその観測には量子井戸状態が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。この成果は現在Phys. Rev. Bに投稿中である。また、Cs吸着系に関しては予備的な実験を行った。
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