2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20038035
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 久芳 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 教授 (40128690)
|
Keywords | 密度汎関数法 / クラスターモデル / 水素発生反応 / 酵素還元反応 / 電極電位 |
Research Abstract |
密度汎関数法計算による燃料電池の水素発生反応(HER)と酸素還元反応(ORR)のシミュレーションを行い,素反応のごとに可逆電位を求め、過電圧の所在について言及した。LiやFなどの異原子を付加して、イオン化ポテンシャルを変化させた種々のPtクラスターを用いる。異原子を含めた電極クラスターモデルをPtXと略記すると、HERの第1段反応 : PtX-OH_2+[O_4H_9]^++e^-→PtX-H+H_2O+O_4H_8、第2段反応 : PtX-H+[O_4H_9]^++e^-+H_2O→PtX-OH_2+H_2+O_4H_8と表される。また、ORRの還元素反応は一般式で、PtX-R+[O_4H_9]^++e^-→PtX-RH+O_4H_8のように表記される。ここで、Rは還元前駆体で、O_2、OOH、O、OHのいずれかである。 それぞれの素反応の両辺に現れる化学種の全エネルギーを計算し反応熱を算出する。Ptクラスターの電極電位が低い場合は反応は吸熱的に、電極電位が高い場合は、発熱的になるが、還元素反応が熱的中性になるようなクラスターの電極電位から素反応の可逆電位を求める。HERでは、2つの素反応にたいして、0.36V、-0.21Vという値が得られた。また、ORRでは、O_2+H^++e^-→OOH(PtX等を省略する)反応の可逆電位は0.78Vであり、1.23Vよりも低電位なので、活性化エネルギーに寄与する。第2段階の還元反応では、OOH+H^++e^-→O+OH_2とOOH+H^++e^-→HOOHが競合するが、前者が電位的にもエネルギー的にも有利であり、求めた可逆電位は2.02Vである。第3段階の還元反応の可逆電位は1.65Vであり、O+H^++e^-→OH反応によりOH生成は容易に進行する。第4段階の還元反応の可逆電位は0.00Vとなり、OH+H^++e^-→H_2O反応も、活性化エネルギーに寄与する。
|
Research Products
(3 results)