2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20038036
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥村 光隆 Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授 (40356712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 貴資 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (30321748)
北河 康隆 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (60362612)
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Keywords | 擬縮重多電子系 / 対称性の破れ / 構造最適化 / メゾスコピック / クラスター |
Research Abstract |
実在系の第一原理計算では、少ない計算機資源で効率良く電子相関効果を取り入れるかという点が大きな問題となる。現在最も用いられているHF法などの単一行列式によるアプローチは、基底関数の四乗の計算機コストで実行可能である。且つ、長距離クーロン相互作用をカットオフするなど、オーダーN的な手法が益々進歩する事を考えると、この単一行列式によるアプローチは今後も続くものと考えられる。動的電子相関は非常に高速化されたMP法やあるいはDFT法、ハイブリッドDFT法等により取り入れる事が可能であるが、静的な電子相関効果に関しては、構造依存性が大きい為、取り込む事は難しい。一つのアプローチはα電子とβ電子を違う軌道に帰属させて計算するBS法である。BS法は、非常に簡便に静的電子相関を取り入れる事ができ、化学結合の解離や局在スピンが表現できる為、物性や化学反応の解析において大変有用である。また、計算機コストも平均場近似レベルで収まる事から、現在、巨大な強相関電子系の計算に盛んに用いられている。しかし、BS法には、波動関数に高次のスピン状態が混入してしまうという致命的な欠点がある。このスピン混入は波動関数自身にあらわれる為、構造など様々な所に影響を及ぼす。山口らにより提案された近似スピン射影法は、この問題に対し、低スピン状態と高スピン状態のエネルギー等を用いて、スピン混入を近似的に取り除いたエネルギーを求める手法で、少ないコストで非常によくその誤差を乗り除くことができる。本特定領域研究では、これを用いた構造最適化法を開発し、様々なビラジカル種、多核遷移金属錯体や生体内多核遷移金属活性中心の構造最適化へと適用した。
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Research Products
(13 results)