2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20038044
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
望月 祐志 Rikkyo University, 理学部, 准教授 (00434209)
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Keywords | フラグメント / 分子軌道法 / 電子相関 / 分子動力学シミュレーション / 結合クラスター展開 / 多体摂動論 / 水和反応 / 並列処理 |
Research Abstract |
本研究は、FMO法の発展的開発を電子相関計算と分子動力学シミュレーション(FMO-MD)の二つの軸線を取って展開している。各々の平成20年度の成果概要は以下のようになる。 電子相関理論では、独自の並列処理アルゴリズムに基づいてFMO-MP3計算をPCクラスター上で実タンパク質に対して適用可能としたことが上期の代表的成果であり、FMO-MP2に対する相対コストは10倍ほどで済む。後期は、基底状態の結合クラスター展開・多体摂動論としては最良の結果を与える{CCSD(T), QCISD(T), MP4(SDTQ)}までのプロトタイピングを完了させ、振幅・残渣ベクトルのハンドリングと積分処理についての本実装前の検討を進めた。また、自己エネルギーを繰込む修正2次摂動論も開発した。他方、応用計算では赤色蛍光タンパク質(DsRed, mFruits)の電子遷移エネルギーを、多層FMOスキームの下で多高次補正を含むCIS(D)計算によって評価し、実験値を0.1eV以内の精度で再現することに成功した。また、蛍ルシフェラーゼの発光エネルギーについても同様の計算を行い良好な結果を得た。 FMO-MDでは、多くの求核攻撃反応を記述できるBlue Moon拘束力学を導入し、先ずHFエネルギー勾配でメンシュトキン反応に適用し、妥当な自由エネルギープロファイルを得た。しかし、定量性・信頼性の向上には相関の考慮が不可欠であるため、後期にMP2エネルギー勾配エンジンを開発した(凍結内殻制限も可能)。アルゴリズム的には、一切の作業ファイルを使わずに並列化しているため、超並列スーパーコンピュータでの実行にも向いている。このMP2勾配エンジンは3体補正FMO(FMO3)との併せてFMO-MDシステムに組み込んでおり、水素結合系の凝集相反応の定量的シミュレーションが可能になると考えている。
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