2008 Fiscal Year Annual Research Report
高分子電解質膜中でのプロトンダイナミックスと水輸送機構の解明
Project/Area Number |
20038050
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
崔 隆基 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 計算科学研究部門, 研究員 (40392633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土田 英二 独立行政法人 産業技術総合研究所, 計算科学研究部門, 研究員 (50357521)
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Keywords | 計算物理 / 燃料電池 / 燃料電池 |
Research Abstract |
代表的な高分子電解質膜であるナフィオンおよび、炭化水素の電解質膜の特性を計算機シミュレーションの技術を用いて解析した。本年度はベンチマーク的な電解質膜であるナフィオン中でのプロトン伝導機構および水輸送の分子レベルでの詳細、また水輸送と関連した電気浸透係数の解析を行った。また現在産業界で実用化のために開発が進められている代表高な炭化水素系電笏質膜である、Sulfonated polyether sulfone(SPES)を量子化学計算及び第一原理分子動力学シミュレーションを用いて解析しナフィオンとの性能の違いの詳細を分子レベルで検討した。我々のシミュレーションの結果、従来のプロトン伝導機構では説明が難しかった含水率と電気浸透係数との関係を明らかにすることができた。また、従来の高分子電解質膜中でのプロトン伝導機構の分子レベルでの詳細が、極端に単純化されたモデルであることを明らかにした。SPESに関するシミュレーションの解析結果、SPESではナフィオンと違いスルフォン酸基の水和が低含水率では不十分であり、これにより低含水率ではSPESの性能がナフィオンに比べ劣ってしまうのではないかとの見解を得ることができた。また、量子化学計算の結果からSPES、ナフィオン共にプロトンの解離に必要な水分子は四つであることが分かった。従来の実験グループにより提案されているように、ナフィオンの方がプロトンを解離しやすいことも計算により明らかにした。しかしプロトンの解離のしやすさにより、両電解質膜のプロトン伝導度の違いがでるのではなく、むしろスルフォン酸周辺の水和構造の違いにより、プロトン伝導度の違いがでるとの結果が示唆された。
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Research Products
(22 results)