2008 Fiscal Year Annual Research Report
bクォークからdクォークへの崩壊過程における新物理の探索
Project/Area Number |
20039003
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石野 宏和 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (90323782)
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Keywords | 小林・益川理論 / CPの破れ / 標準模型を超える物理 |
Research Abstract |
bクォークからdクォークへ崩壊する過程は、素粒子の標準模型では、FCNC(Flavor Changing Neutral Current)相互作用でしか起きない。これはbクォークよりも20倍程度重いtクォークとWボソンが、不確定性原理により一瞬だけ現れる相互作用である。もし、この相互作用に標準模型に含まれていない未知の素粒子が存在すると、標準模型の予想と異なる効果が表れると考えられている。本研究では、第三世代のbクォークから第一世代のdクォークへ遷移する過程を詳しく調べ、未知の素粒子(新物理)の探索を行う。平成20年度は、前年度からの研究の続きで、B中間子が4つの荷電π中間子終状態への崩壊する過程の研究に携わった。この過程には二つのρ0中間子が終状態に含まれており、小林・益川理論が予言しているCPを破る位相φ2の測定に利用できる。この崩壊過程には、f0や非共鳴状態の寄与があるので、それらを正確に差っ引き、その結果の正しさを確認する作業が必要である。この作業は難しく、試行錯誤とBelleコラボレータとの議論に末にようやく結論を出すことができた。残念ながらρ0ρ0の信号を発見することはできなかったが、ゆるやかなφ2の制限を与えることができた。また、純粋なbクォークからdクオークへの遷移であるBO→KSOKSO崩壊におけるCPの破れも測定した。測定結果は、標準模型の予想値と無矛盾であった。測定方法を確立したので、今後さらにデータが溜まればより精度よく新物理に対する知見を得ることができる。
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