2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20042003
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
土井 正晶 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (10237167)
|
Keywords | ナノ狭窄構造 / スピン伝導 / スピントランスファートルク / スピンダイナミクス / マイクロ波発振 / ナノ狭窄磁壁 / ナノオキサイド層 / MR変化率 |
Research Abstract |
強磁性多層薄膜におけるスピントランスファートルク(STT)マイクロ波発振は, CPP-GMR及びTMR素子において観測されており, マイクロ波発振デバイスへの応用が期待されている. 当研究グループでは自己組織化法を用いた絶縁体層中への電流狭窄ナノチャネル構造の造り込み方法を適用し、ナノ狭窄領域に磁壁を閉じ込めたFeCo/[FeCo-AlOxナノ狭窄構造]/FeCoを積層した強磁性ナノ接点型のナノ狭窄構造薄膜においてGMRではなく、TMRでもないナノ狭窄磁壁型(Domain Wall MR(DWMR))の比較的高い磁気抵抗比(〜10%)を観測することに成功している。また、既に本ナノ狭窄構造体において狭窄された磁壁に起因すると考えられるスピントランスファートルクによる比較的高い発振強度とQ値(Δf/f)のマイクロ波発振を確認した。しかし、DWMR素子のマイクロ波発振の機構は明らかではない。そこで、DWMR素子におけるスピンダイナミクスを解明することを目的として、DWMR素子のマイクロ波発振周波数に着目し, その外部磁場及び印加電流依存性を調べ、マイクロ波の発振特性を磁壁のダイナミクスから考察した。その結果、DWMR素子はフリー層の磁化がリファレンス層に対して反平行になる磁化状態と、リファレンス層の磁化が反転し始める磁化状態において、リファレンス層からフリー層に電子を注入したときにマイクロ波発振が励起された。この素子で発振が励起される磁化状態はちょうど180°磁壁の出来始めと崩れ始めの磁化状態と一致しており、それぞれの発振周波数は前者は6〜9GHz、後者が10〜13GHzと異なっている。磁壁の閉じ込め方によってマイクロ波発振の周波数が異なる可能性が考えられ、フリー層の磁化がリファレンス層の磁化と反平行であるときには発振が観測しにくいといった本系独特の特徴ある結果が得られた。
|
Research Products
(11 results)