2008 Fiscal Year Annual Research Report
光‐分子‐電気二重層場の複合強結合系としての電極/金属ナノ粒子界面の分光応答
Project/Area Number |
20043028
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
相樂 隆正 Nagasaki University, 工学部, 教授 (20192594)
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Keywords | 超薄膜 / ナノ材料 / 光物性 / 表面・界面物性 / 電気二重層 / 界面動的挙動 |
Research Abstract |
1. 球形金ナノ粒子を金電極に修飾した有機超薄膜上に固定化した系について、様々な濃度の電解質溶液中をモデル設定して電気二重層電場分布を物理計算しだ結果、ナノ粒子近傍での特徴的な電位分布プロフィルが明らかになった。粒子表面から溶液沖合に向けての電位の距離依存性が平面より遥かに急峻であること、電極とナノ粒子のギャップに存在する中性分子は、基板電極から同じ距離にありながら粒子から離れた位置とは異なった二重層電場を感じることなどが新たに示された。 2. 従来法を大幅に改善した方法で、フリースタンディングな金ナノリングを水相合成することに成功した。銀ナノコインを経由し、金との酸化還元置換反応を用いる方法で、外径20nm、内径12nm程度のものが高効率に得られた。 3. 金ナノ構造体を、有機分子組織膜の電位駆動ダイナミクスと共役させて動かし、動的挙動中の粒子とプラズモン励起光との強いカップリングの出現の検出を試みた。しかし、中性界面活性剤のオクタデカノール、アニオン性のドデシル硫酸ナトリウムとも、十分な振幅の金ナノ構造体の動きを誘導しないことが明らかになった。一方、電位駆動が充放電を鋭くスイッチングをする挙動が見出され、プラズモン励起による光応答が電位でON-OFFできる可能性を指摘した。 4. 金ナノ粒子と電極表面との間に酸化還元活性なビオロゲンチオールSAMがある時、粒子の充放電が起こる系では、ビオロゲンの酸化還元応答が金ナノ粒子がない状態とは異なった。この現象と特徴的な二重層電場分布との関係を解析した。 5. 金ナノリングを、有機単分子層を介してITO電極上に固定化した系で、電位に依存したプラズモン吸収スペクトル変化を把握した。更に、金ナノリング表面に色素を吸着させたところ、分子配向の変化にも依存した非ファラデー反射スペクトル応答が得られ、増強シュタルク応答と解釈ができるかどうか検討した。
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