2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属ナノ構造を用いた光通信波長帯での光制限機能に関する研究
Project/Area Number |
20043036
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鎌田 賢司 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 光技術研究部門, 主任研究員 (90356816)
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Keywords | プラズモン共鳴 / 電場増強 / 二光子吸収 / 光制限 / ナノ構造体 / ナノロッド / シアニン / 有機色素 |
Research Abstract |
プラズモン共鳴は、その共鳴波長と一致した波長を持つ入射光に対しては数桁にものぼる電場増強効果が起きることが知られている。一方、ヘプタメチン系シアニン色素が光通信波長帯で強い二光子吸収とそれを初期過程とする優れた光制限特性を示すことが見いだされている。そこで、この色素を金属ナノ構造のプラズモン共鳴と結合させ、その電場増強効果を利用することで、光制限効果が生じる入射レーザーパワーを劇的に下げ、光通信における利得平坦化素子などに応用ができる可能性がある。本研究ではそのための基礎研究として、1500nmに強い二光子吸収を示すヘプタメチン系色素と、同じ波長域にプラズモン共鳴を示すAuナノ構造体アレイおよびナノロッドと複合化させ、その二光子吸収特性の変化を透過法で調べた。 この色素/Auナノ構造体複合体の二光子吸収の評価は、単一のアレイ領域をプローブできるように新たに構築した顕微非線形透過率測定光学系によって行った。測定された透過率は、色素/Auナノ構造体複合体では、実験誤差内ではあるが、入射光の増加に伴い透過率が増大する二光子吸収とは逆の振る舞いが観測された。また、Auナノ構造体に代わりAuナノロッドを用いて同様の実験を行ったところAuナノロッドでは強い吸収飽和が観測された。 今回の結果は色素分子との複合系においても、ナノ構造体そのものの吸収飽和や二光子吸収が顕著に現れる可能性を示唆しており、このナノ構造体自体の構造とその吸収飽和や二光子吸収と言った非線形光学特性との関連について詳細に調べる必要があることを示唆している。
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