2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ金属-半導体界面におけるプラズモン誘起電子移動ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
20043039
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
古部 昭広 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (30357933)
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Keywords | 超高速分光 / 界面 / プラズモン / 過渡吸収 / フェムト秒レーザー / 電子移動 / 光電変換 / ダイナミクス |
Research Abstract |
金属ナノ構造に光が照射された時に生成する局在プラズモンは、金属の近接場に大きな電場を作り出し、効率的な反応、新たな反応を引き起こすことが期待されており、多くの基礎的、応用的研究が進んでいる。本研究代表者らは、これまでの研究で、酸化チタンナノ粒子に吸着した粒径10nmの金ナノ粒子をフェムト秒レーザーで励起した際に、250fs以内の時間に約40%の高い収率で、酸化チタンの伝導帯に電子が移動するという知見を、赤外波長領域の過渡吸収測定から得た。本年度は、特に金ナノ粒子間付近に生じる増強電場が電子移動反応に与える効果を、フェムト秒の過渡吸収分光により明らかにすることを目的にした。これまでに、高性能の分光システムを構築しているので、装置の若干の改良、試料作製・評価等を行いながら研究を進めた。 以下に今年度の研究実績の詳細を示す。 1. 金ナノ粒子から酸化チタンナノ粒子へのプラズモン誘起電子移動反応の機構を調べるため、フェムト秒過渡吸収分光測定を行い、反応速度と収率を詳細に明らかにした。まず、精密測定と解析によってプラズモン吸収バンドのピーク波長を励起した時の電子移動反応が50fs以内であることが分かった。これは電子-電子散乱過程と競争的な反応機構を示すものである。 2. 励起波長依存性の実験から、高い電子移動収率を得るためには、電子-正孔対を効率よく生成させること、および金と酸化チタンの接点で増強電場を生成させることが効果的であることが示唆された。 3. 金ナノ粒子の配列体において生成する増強電場を励起した際にも電子移動反応がおこり前項目を指示する結果が得られた。 これらの情報は素過程ダイナミクスの理解および新たな反応系のデザインに貢献すると考えている。これら成果は後述の学会および論文において積極的に発信した。
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Research Products
(15 results)