2008 Fiscal Year Annual Research Report
一次元チャネルを有するホウ素系化合物の機能性材料としての可能性
Project/Area Number |
20045004
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
武田 雅敏 Nagaoka University of Technology, 工学部, 准教授 (30293252)
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Keywords | ホウ素系化合物 / 一次元チャネル / 電気伝導率 / ゼーベック係数 / マグネシウム四ホウ化物 |
Research Abstract |
本研究は, 一次元チャネルを有するホウ素原子フレームと, そのチャネルに内包されたマグネシウムで構成されたホウ素系化合物MgB_4を中心に, その基本的な物性を明らかにするとともに熱電材料をはじめとする機能性材料としての可能性を検討することが目的である. これまで結晶構造に関する報告はあるものの, 物性に関する報告はなく, 今年度は物性測定が行える試料の作製を中心に研究を行った. ホウ素とマグネシウムの蒸気圧が大きく異なるため, 固相反応を基本とした方法で試料作製を試みた. 出発原料にはB, MgB_2粉末を用い, 秤量・撹拌した粉末を約1000℃で加圧焼結し, その後Ar雰囲気中で800℃の熱処理を施した. 得られた試料はMgOが第二相として存在しているが, MgB_4を主成分とする多結晶体であった. MgOは絶縁体であるため, 電気物性の測定に大きな影響はないと考え, 室温以上での電気伝導率, ゼーベック係数の測定を行った. ゼーベック係数は多くのホウ化物と同様に正の値であり, 主要なキャリアがホールであることを示している. 電気伝導率の値はMgB_2とMgB_7の間であった. 温度依存性は小さいが温度とともに上昇しており, 半導体的な性質を持っていることが明らかになった. 我々が行った電子状態計算によると, MgB_4は半導体であることが予想されていたが, 今回の結果はその計算と定性的には一致していると考えている. MgOが含まれているため, 詳細な議論はできないが, 我々が知る限りMgB_4が半導体的な性質を示すという初めての実験結果である.
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