2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20045006
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
堂寺 知成 Kinki University, 理工学部, 教授 (30217616)
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Keywords | 配列ナノ空間 / 物性理論 / 高分子構造・物性 / 自己組織化 / フォトニック結晶 / ブロック共重合体 / 準結晶 / ソフトマター |
Research Abstract |
研究題目「多元高分子配列ナノ空間物質の構造設計と物性理論」の研究目的は、多元高分子による全く新しい配列ナノ空間構造を設計構築すること、およびその新規物性の理論研究を行うことであった。特にコロイド結晶では作成できない充填密度が低いダイヤモンド構造創製の成果を世界に発信し、物性発現として未来のデバイス、フォトニック結晶への応用可能性を研究することであった。 平成21年度は、新しく発見した階層シャイロイド構造の構造解析を進め、実施計画に基づき研究成果の公表準備をした。また、フォトニックバンド計算の精度を高めるべくコンパクト差分法を導入したFDTD法の開発を進めた。この研究には数値計算の専門家に援助を受け、共同研究に発展しつつある。方法論としての有効性を検証しているところである。次に、高分子の作るシングルジャイロイド構造の螺旋軸に注目し、コレステリック液晶あるいは甲虫などに見られる左右螺旋偏光の反射率が異なるという現象が、多元高分子配列ナノ空間物質でも生ずるという仮説を立て、数値実験で確かめた。この研究は継続する予定である。 まとめると当該研究期間で、多元高分子による全く新しい配列ナノ空間構造を設計し、自己組織化を用いて2つの新規な構造(巨大ジンクブレンド構造、階層ジャイロイド構造)を構築することに成功した。これらの研究は物質科学、物理および高分子化学の進展に貢献し、学術的にも意義の高いもので、結晶学、数学への関連も重要だと考えている。また理論的には多元高分子のフォトニック結晶への応用可能性を広げた点、これまで議論されなかった偏光実験を提案するなど新しい物性発現の予言を行った点で当初の目標を達成したと言える。
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Research Products
(4 results)