2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20045014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 典史 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 講師 (10346819)
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Keywords | 低分子ゲル / 自己集合 / 分子認識 / 超分子 / π電子系 |
Research Abstract |
本研究は、分子の中心に光学特性・電子機能性に富んだπ系化合物を組み込み、一次元状に集積したπ電子系に由来する機能発現を目的としている。本年度は、没食子酸誘導体が与える一次元分集合体が内部に一次元状の空孔を与える点に着目し、導電性高分子やDNAなどのポリマーをゲスト分子としてこの一次元状ホスト空間への包接を試みた。即ち低分子ゲル設計を基軸に一次元分子集合体ホスト設計し、小分子や合成高分子、生体高分子の包接を試み、プログラムされた分子配列が可能な空間の構築を目的とした。研究初年度となる今年度は、試験的に、ゲル化を促すために長鎖アルキル基と水素結合部位であるアミド基を導入した没食子酸に対し、内面空間に接する位置にカチオン性官能基を導入した。得られたカチオン性ゲル化剤に対し、別途合成したアニオン性ポリチオフェンを混合してゲル化試験を検討し、一次元構造の詳細を共焦点レーザー顕微鏡にて検討し、反射モードで得られた繊維状組織に沿って、ポリチオフェンに由来する蛍光発光が観察される事を示した。さらに、ゲル内における分子認識挙動の解明を進める途上、ゲル内での分子認識現象に基づくアントラセンの選択的な光2量化反応を発見した。長鎖アルキル基とアミノ基を含む没食子酸誘導体(ゲル化駆動部位)と2-アントラセンカルボン酸を相互作用させると、カルボン酸とアミンの相互作用により2元系ゲル化剤が生成する。ゲル内において紫外光を照射すると、ゲル繊維内における9-アントラセンの配向を反映した光2量化体が生成した。溶液中における参照実験からは、9-アントラセンがhead-headもしくはhead-tail型で2量化した混合物が得られたが、ゲル中で行った反応からはhead-head型の2量化体のみが選択的に生成した。低分子ゲル内における精密分子認識系が発現した結果、選択的な光2量化反応が進行したと考えられる。
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Research Products
(5 results)