2008 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧合成法による4f電子系ナノ空間物質の創製と物性評価
Project/Area Number |
20045015
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
佐藤 英行 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 教授 (80106608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 勇二 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (20231772)
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Keywords | 充填スクッテルダイド / ラトリング / ナノ空間 / 試料育成 / 強相関電子系 / 充填率 / 結晶場 |
Research Abstract |
高圧下フラックス法による、Sb系充填スクッテルダイト単結晶の希土類イオン高充填率化 : 希土類基充填スクッテルダイトでは、15族元素が形成する20面体内の空間に希土類などが充填されるが、空間サイズが大きなSb系では、常圧合成された試料は充填率が不完全なため、報告者により基本物性が異なるなどの問題があった。我々は、特にFeSb系について、高圧下で高充填率の試料を作製し物性測定を行った。 PrFe_4Sb_<12>について、既に、高充填率化した試料では常圧合成された試料で報告されていた強磁性的振舞が、高圧合成により消失することを明らかにした。その場合、結晶場基底状態が重要であるため、高圧合成試料を用いて中性子非弾性散乱実験を行い、非磁性Γ_1基底状態であることを明らかにした。また、試料合成法により磁気的基底状態が矛盾していたYbFe_4Sb_<12>について、高充填率単結晶の育成に成功し、非磁性基底状態であることを確定した。この充填率依存性は、充填率の違いによるフェルミ準位のシフトが、フェルミ準位での電子状態密度(3d電子の寄与が支配的な)に大きな変化をもたらすためと解釈した。 重希土類系充填スクッテルダイトの単結晶育成と物性評価 : これまで、2価のYbなどの例外を除き、イオン半径の小さな重希土類では、イオンは20面体空間内になかなか安定化せず、高圧下で合成された多結晶を用いた物性評価のみが報告されてきた。しかし、その場合、比抵抗値が極めて大きく、試料依存が大きいなど、本質的な特性を知るには問題があった。我々は、フェルミ面のネスティングに起因する反強磁性転移を示す、GdRu_4P_<12>の高圧下単結晶育成に初めて成功し、転移に伴うキャリヤーの減少を確認した。更には、 Gd系としては異常に大きな電子比熱係数を示すことを発見し、その機構の解明を進めている。
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