2008 Fiscal Year Annual Research Report
B_<12>配列ナノ空間物質の準静水圧力下での圧力応答と構造変化
Project/Area Number |
20045019
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
中野 智志 National Institute for Materials Science, ナノ物質ラボ, 主幹研究員 (50343869)
|
Keywords | ホウ素 / icosahedron / 超高圧 / ヘリウム / 準静水圧 |
Research Abstract |
本研究は、ヘリウム圧力媒体による準静水圧を用いて、異方性のある配列ナノ空間が静的圧力に対してどのような圧力応答を起こすのかを、実験的に的に明らかにすることを目的としている。 B_<12> icosahedronのネットワークからなる物質群の中で最も単純なα-ホウ素について、ヘリウム圧力媒体を用いてα-ホウ素の高圧ラマン散乱測定を行った。静水圧性の向上により、従来の報告よりもピークの明瞭なラマン散乱スペクトルが約54GPaまで得られた。低波数側に現れるシャープなlibrational modeは、15-20GPaを頂点として高波数シフトから低波数シフトへ変化し、ソフト化するような挙動を示した。また20GPa付近から、その近傍に、ブロードではあるが新たなピークが現れた。このピークはicosahedron間の何らかの相互作用を示していると考えられ、電気抵抗の圧力変化における折れ曲がりと対応している可能性がある。 構造III型GeクラスレートであるBa_<24>Ge_<100>は常圧でTc=0.24Kの超伝導体であるが、高圧下ではTcが3.8K程度に上昇する。この圧力効果は、Baのラットリングフォノンとホストの電子との間のph-e相互作用で説明されている。この高圧下での構造変化を調べるために、ヘリウム圧力媒体を用いて約35GPaまでのX線回折実験を行った。その結果、約10GPaまで明らかな構造相転移は見られなかったが、4-5 GPaの圧力で体積弾性率が変化し"硬く"なった。これは、BaとGe-hostとのph-e相互作用が大きくなるという解釈と矛盾しない。10GPaを越えたところで圧力誘起アモルファス化が始まったが、約35GPaからの回収試料はシャープな回折パターンを回復し、「アモルファス」状態でもGeケージは破壊されていないことが分かった。
|