2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20046005
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤山 茂樹 The Institute of Physical and Chemical Research, 高木磁性研究室, 研究員 (00342634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樹神 克明 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (10313115)
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Keywords | 負の熱膨張 / 中性子散乱 |
Research Abstract |
近年、幾何学的フラストレーションは、古典スピン系における古典的長距離磁気秩序の抑制による新奇スピン状態の発現の研究にとどまらず、スピン・電荷・格子の固体中自由度が密接に結合した興味深い現象を示すことが明らかになりつつある。 近年、このスピンと格子の二つの自由度が密接に結合し、スピン自由度の制御による結晶格子定数の変化に注目が集まりつつある。 立方晶逆ペロプスガイド構造をもつMn_3Cu1-_xGe_xNは、xを増加させるとx=0.15で降温とともに磁気体積効果による急激な体積膨張を示す。さらにxを増加させるとその体積膨張は温度に対して緩やかになり、x=0.5付近では室温付近の広い温度範囲で温度に対してリニアな体積膨張を示すことから、負熱膨張材料として注目されている。我々はxの増加による磁気体積効果の温度に対する緩和のメカニズムを調べる目的で、中性子回折、NMR、パルス中性子回折データのPDF解析を行った。まず中性子回折およびNMRから、磁気体積効果を示すx領域ではバルクの構造は全温度域で立方晶を保ちさらにT^5g型反強磁性と呼ばれる磁気構造をもつこと、体積膨張が緩やかな組成では反強磁性磁気モーメントの成長も緩やかであることがわかった。さらにPDF解析を行った結果、この系では局所的には立方対称性が破れており、xの増加とともにその対称性の破れが増大していること、すなわち立方対称性の破れと磁気体積効果の緩和に強い相関があることがわかった。
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