2008 Fiscal Year Annual Research Report
フラストレート系CuOジグザグチェーンにおける超伝導の研究
Project/Area Number |
20046006
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山田 裕 Niigata University, 自然科学系, 教授 (10242835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 敦子 新潟大学, 超域研究機構, 准教授 (50399383)
石川 文洋 新潟大学, 自然科学系, 助教 (50377181)
大村 彩子 新潟大学, 超域研究機構, 助教 (60425569)
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Keywords | 強相関電子系 / 超伝導 / 高圧物性 / 磁性 / ジグザグチェーン / 擬一次元 |
Research Abstract |
我々は、最近Pr_2Ba_4Cu_7O_<15-δ>(Pr247)酸化物において酸素還元処理を施すことにより超伝導がTc=15K付近で出現することを発見した。これは従来のCuO_2二次元面による超伝導とは異なりCuOジグザグチェーンにおける超伝導であると考えられる。この超伝導の発見は銅系酸化物超伝導体における全く新しい超伝導の出現となるばかりでなく、その結晶構造から、擬一次元伝導機構による初めての超伝導物質であると考えられる。CuOジグザグチェーンは元来フラストレーションスピン系にキャリアーをドープした系である。事実、キャリアー依存性、圧力依存性で様々な量子相が観測されている。そこで我々はこのCuOジグザグチェーンチェーンのキャリア数を制御して、電子輸送特性及び結晶構造解析を調べることによりその物性を解明することを試みた。 特に本年度は特に高圧力下での物性及び結晶構造を明らかにした。その結果、圧力を加えるとキャリア数に関わらず超伝導は消失していった。その超伝導が消失する圧力は酸素還元量が多い試料ほど高い圧力が必要であった。また、すべての試料で10GPa付近まで加圧すると、半導体的挙動を示すことが明らかとなった。加圧下での結晶構造解析の結果、10GPa以上で構造相転移を起こすことが確認できた。これはCuOジグザグチェーンを持たないPr123構造では起こらないことからCuOジグザグチェーンが壊れている可能性が高いことが示唆された。さらにこの構造相転移はPr系酸化物だけでなくCuOジグザグチェーンを有する他の酸化物(Y124, Y247など)でも起こることを確認した。
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