2008 Fiscal Year Annual Research Report
Ti,V酸化物における軌道自由度付フラストレーション系の物質開発と物性
Project/Area Number |
20046014
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
勝藤 拓郎 Waseda University, 理工学術院, 教授 (00272386)
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Keywords | 幾何学的フラストレーション / 軌道自由度 / 遷移金属酸化物 |
Research Abstract |
magnetoplumbite構造V酸化物の軌道自由度とスピンフラストレーション magnetoplumbite構造をとるSrCrxGa12-x019は、Cr3+(3d3)のカゴメ格子を持つ幾何学的スピンフラストレーションの系として知られているが、このCr3+をV3+(3d2)で置き換えたSrVxGa12-x019の合成に世界で初めて成功した。この系は3重縮退したt2g軌道に軌道自由度があり、それがスピンフラストレーションにどのように影響を与えているかに興味がある。磁化測定の結果、この系は、スピンギャップ成分とキュリーワイス成分の双方を含んでいることがわかった。さらに、比熱の測定から、Cr酸化物では低温で観測されていた磁気比熱がV酸化物では大きく抑制されていることを見出した。さらに、放射光x線回折実験の結果から、カゴメ格子上でVの三量体化が起こっていることがわかり、これがスピンシングレット状態を形成していることを明らかにした。 三角形を基にしたV格子を持つBaV10015の金属-絶縁体転移 BaV10015は、V三角格子から、V三角形を規則的に欠損させた格子構造をとる。この物質では130K付近で構造相転移を起こし、そこで電気伝導に異常が起こることが知られている。我々はこの物質の単結晶を作製した結果、構造相転移で電気抵抗が3桁も跳ぶ金属-絶縁体転移であることを見出した。さらに、光学反射率測定の結果から、低温で0.2eV程度のギャップの開いた絶縁体であること、さらにスペクトルに大きな異方性があることを見出した。
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