2008 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ複合系の励起子エネルギー移動と光物性制御
Project/Area Number |
20048002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 新男 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (50159068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 剛史 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20509070)
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Keywords | ナノチューブ / フェムト秒分光 / 励起子 / 光物性 |
Research Abstract |
1) フェムト秒発光ダイナミクス評価装置の整備 カーボンナノチューブ複合系のフェムト秒領域におけるエネルギー移動を明らかにするために、発光アップコンバージョン法により発光現象のカイネティクスを測定する装置を整備した。その結果、110fsの時間分解能、および従来の方法では観測不可能であった0.5-1.3eVのエネルギー範囲における発光ダイナミクスの測定が可能になった。 2) 単層カーボンナノチューブの近赤外発光ダイナミクスとその環境効果の研究 3種類の界面活性剤でミセル化された単層カーボンナノチューブの発光減衰挙動を明らかにした。減衰挙動は2成分から成り、遅い成分は従来の報告と同様に、孤立したナノチューブ内における無輻射緩和に起因する。一方、速い減衰成分は数本のナノチューブがバンドル化したことのよるエネルギー移動が減衰時定数を決めていると解釈される。さらに、多数のナノチューブがバンドル化された試料では、極めて微弱な発光が観測され、その時定数はおよそ100fsであることがわかった。 3) 二層カーボンナノチューブの非線形光学応答の研究 二層カーボンナノチューブでは、内側と外側のチューブ間相互作用の効果が光学応答に現れることが期待される。内側チューブの第2バンド間遷移に共鳴するポンプ光で励起した場合における非線形光学応答の共鳴増大効果を調べた。第2バンド間遷移を共鳴励起した場合、単層カーボンナノチューブの場合と同様に、選択された特定のカイラリティをもつナノチューブの第1バンド間遷移における非線形感受率が共鳴増大することがわかった。しかし、二層カーボンナノチューブにおける増大効果は、単層ナノチューブのそれに比べて小さく観測されることがわかった。
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