2009 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ複合系の励起子エネルギー移動と光物性制御
Project/Area Number |
20048002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 新男 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (50159068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 剛史 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20509070)
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Keywords | ナノチューブ / フェムト秒分光 / 励起子 / 光物性 |
Research Abstract |
1) 単層カーボンナノチューブバンドルの近赤外発光ダイナミクスとエネルギー移動の研究 単層カーボンナノチューブはファンデアワールス相互作用により、二次元三角格子のバンドルを形成する。このバンドル状のナノチューブ間の励起子エネルギー移動を、フェムト秒領域の発光ダイナミクスかう明らかにした。透過電子顕微鏡で観察したナノチューブ直径分布を用いて、減衰挙動をレート方程式解析した結果、光励起された半導体チューブから周囲の半導体、金属チューブへのエネルギー移動レートが求められ、半導体チューブへの異動レートが金属のそれに比べて1.6倍高いことがわかった。 2) 単層カーボンナノチューブの近赤外発光ダイナミクスとその環境効果の研究 PFO高分子でラップされた単層カーボンナノチューブの発光ダイナミクスを観測し、蛍層カーボンナノチューブ間のエネルギー移動を調べた。発光励起スペクトルに対応して、直径の小さいチューブから大きいチユーブへのエネルギー移動を示す減衰挙動の発光エネルギー依存性が観測された。透過電子顕微鏡観測からラップされたナノチューブが部分的にバンドルを形成していることがわかり、これらのチューブ間でエネルギー移動を起こすことが示唆された。 3) 二層カーボンナノチューブにおけるチューブ間のエネルギー移動に関する研究 単層カーボンナノチューブの含有率が約1%である高純度二層カーボンナノチューブを用いて、チューブ間のエネルギー移動レートを明らかにした。内側チューブの発光減衰時定数は約160fsであり、これに対応した立ち上がり時定数をもつダイナミクスが外側チューブの発光で観測されたことから、チューブ間のエネルギー移動レートの値が正確に決定された。 以上の研究から、ナノチューブ複合系及びミセル化ナノチューブにおけるエネルギー移動過程が明らかになり、複合化することによる発光特性の制御が可能であることが示された。
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Research Products
(7 results)