2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノエレクトロニクスへの応用を目指したカーボンナノチューブのカイラリティー制御
Project/Area Number |
20048003
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
小松 直樹 Shiga University of Medical Science, 医学部, 准教授 (30253008)
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Keywords | ナノチューブ / 分子認識 / 分離 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)は、その物性が構造に依存していることがよく知られており、その精緻な応用には物性の制御された、即ち、構造の制御されたカーボンナノチューブが必要となる。そのような背景から、報告者らは構造の制御されたCNTを得ることを目的に、分子認識を利用した方法論をデザインし、現在、検討を進めている。具体的には、CNTとピンセット型ジポルフィリン化合物からなる超分子を鍵とする、CNTの可溶化、ならびに、それに伴うCNTの構造選別である。 平成20年度は、これまでに検討してきたm-phenylene, pyridileneスペーサーに代え、carbazolyleneをスペーサーとするピンセット型ジポルフィリンを合成し、単層カーボンナノチューブ(SWNTs)の抽出を行ったところ、(7, 5), (8, 4)のSWNTsが優先的に抽出され、また、(7, 5)の光学純度が他のものに比べ、非常に高いということが明らかとなった(N. Komatsu et al., ACS Nano, 2008)。一方、より合成が簡便なモノポルフィリン化合物でも、SWNTの選択的な抽出が可能であることも明らかとなった(N. Komatsu et al., J. Phys. Chem. C, 2008)。本検討においては、より大きな直径を有するSWNTが優先的に抽出された。その光学純度は、上記のピンセット型ジポルフィリンを用いた場合に、近い値を示した。また、これまで用いてきたCoMoCATのSWNTに代え、HiPCO-SWNTを用いたところ、これもうまく抽出され、光学活性体が得られた。 平成21年度は、さらなる選択性の向上とより簡便な選別法を確立すべく、ポルフィリン中心金属の選択性、あるいは抽出能に与える影響について検討を行う予定である。
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