2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノプラズモニクスによるカーボンナノチューブの新規光機能性の発現
Project/Area Number |
20048004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 一成 Kyoto University, 化学研究所, 准教授 (40311435)
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Keywords | カーボンナノチューブ / プラズモン |
Research Abstract |
近年、単層カーボンナノチューブを新しい光学材料として応用することが検討されている。しかし、最初に報告された発光量子効率は低く、光機能性材料として十分ではない。光学材料への応用を考えると、発光量子効率が何で決まっているかを明らかにし、またその量子効率を何らかの方法で上げることが最重要課題であると言える。本研究では、カーボンナノチューブの発光量子効率が実際にどのくらいの値であるのか、また何がそれを律則しているのかという、ナノチューブの基礎物理をまず明らかにする。さらに、ナノプラズモニクス技術を利用し、ナノチューブの発光効率の向上を目指し、新しい光機能性を探索することを目的として研究を行った。 本年度は、高品質なカーボンナノチューブを作製し、それを用いて発光量子効率の値を明らかにすることを行った。分散性の高いポリフルオレンを用いることでバックグラウンドのない吸収スペクトルが得られ、このサンプルの発光量子効率の測定を行った。その結果、量子効率が1.5%の比較的高い値であることがわかった。 さらに、プラズモン共鳴による発光増強を目指して、10-20nm程度の表面凹凸を有するラフな金属基板にカーボンナノチューブを分散させ、単一ナノチューブの発光測定を行った。その結果、ガラス基板上に比べ、およそ2-3倍程度の発光増強をすることが明らかとなった。今後、その増強のメカニズムの解明とより大きな増強を目指して研究を行う予定である。
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