2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノチューブデバイスの非平衡電子・熱物性シミュレーション
Project/Area Number |
20048008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 貴博 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (30408695)
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Keywords | ナノチューブ・フラーレン / 物性理論 / 計算物理 |
Research Abstract |
本研究では期間内(2年 : 平成20年〜平成21年)に、カーボンナノチューブの電気伝導特性と熱的性質の理論的および計算科学的研究を行う。具体的には以下の4つの課題 : (1) カーボンナノチューブの直流特性および交流特性 (2) カーボンナノチューブの光誘起伝導 (3) カーボンナノチューブの電気伝導に及ぼす電極(接触構造や種類)の影響 (4) ナノチューブFET動作時のジュール発熱とそれに関連した熱的安定性と熱伝導特性 について逐次解析を進行中である。いずれの研究課題も原子スケールでの高精度な計算機シミュレーションが要求されるので、本研究課題では密度汎関数理論(DFT)に基づく第一原理計算を主体とした計算機シミュレーションを実施している。ただし、通常のDFTは孤立系や周期系に適しており、電極と接したナノチューブのような開放系には不向きであるので、本研究ではDFTを開放系へ拡張するため「非平衡グリーン関数理論」を併用している。またDFTでは計算困難な大規模計算が必要な場合にはタイトバインディング法を併用している。 本年度は課題(2), (4)に関して顕著な成果を挙げた。課題(2)では、ピリジン型ドーピングされたカーボンナノチューブに光を照射することによって、電流のON/OFFを制御可能であることを理論的に示唆した。課題(4)では、発熱したデバイスからの放熱材料として期待されているカーボンナノチューブの熱伝導率が、チューブの長さと直径に強く依存すること、すなわち細くて長いチューブほど熱伝導性が良いことを明らかにした。
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Research Products
(18 results)