2008 Fiscal Year Annual Research Report
生体機能分子の非分解イオン化のための無機ナノ構造体LDI基板の設計と構築
Project/Area Number |
20050007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米澤 徹 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (90284538)
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Keywords | 質量分析 / MALDI-TOF-MS / SALDI-MS / ナノ粒子 / レーザー / 表面 |
Research Abstract |
生体機能物質の非分解イオン化のために、金属ナノ粒子を塗布した、ナノレベルの凹凸を有する基板を作製し、有機マトリクスフリーでいUVレーザーを用いて、ソフト脱離・イオン化を起こすことを試みている。本研究では、さらに、ナノレベルで構造を制御して作製した「ナノ構造体」を用いた表面支援レーザー脱離イオン化法による生体機能物質の質量分析に取り組んだ。構造を制御しやすい白金をベースとし、フラワー状、針状などのナノ構造体を水溶性白金イオンからの還元法によって作製した。得られた白金ナノ構造体は安定で、水に分散させることが容易であった。そうした白金ナノ構造体をステンレスサンプルプレート上に塗布し、ナトリウムイオン、カリウムイオンの除去のための補助材を加えたのち、サンプルを塗布した。 UVレーザーを用いた質量分析装置によって、例えば、薬・毒物からタンパク質などのような、m/zが500以下の低分子量から高分子量までの生体関連物質のソフトなイオン化(フラグメントの生じないイオン化)に取り組んだ。低分子量領域では、従来有機マトリクスでは除外することができなかった、マトリクス由来の妨害ピークを抑制することができ、また、ナノ構造体では、ナノ粒子塗布によるサンプル基板よりも高分子量の物質のイオン化が可能であった。
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