2009 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解蛍光・中性子小角散乱法を用いた膜脂質ダイナミクスの制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
20050017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中野 実 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (70314226)
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Keywords | 脂質ナノディスク / アポリポタンパク質 / HDL / リン脂質 / 中性子散乱 / 蛍光 |
Research Abstract |
脂質ナノディスクの構造とダイナミクス 脂質ナノディスクはリン脂質とアポリポタンパク質A-Iとの複合体であり、生体内で見られる新生HDLと同じ構造をもち、薬物のキャリアとしての応用も検討されているナノ粒子である。dimyristoylphosphatidylcholine(DMPC)を構成脂質とするナノディスクについて中性子小角散乱及び栄光法によって構造評価を行ったところ、ナノディスク中のDMPCはベシクル中に比べ、密に充填されていることが明らかになった。脂質のナノディスク間移動速度をTR-SANSによって評価したところ、ベシクル間移動よりも約40倍も促進されており、しかもエントロピーの増加を伴うことが判明した。すなわち、脂質の高密度の充填が、膜のエントロピーの低下をもたらし、脂質の膜解離プロセスを有利にすることが明らかとなった。 脂質ナノディスクの構造変化 Palmitoyloleoylphosphatidylcholine(POPC)のような不飽和リン脂質でナノディスクを調製すると、脂質/タンパク質比に応じて大きさの異なる3種類の粒子(流体力学的直径9.5-9.6nm、8.8-9.0nm、7.8-7.9nm)が得られることが判明した。小さい2種類のナノティスクはDMPCなの飽和リン脂質膜や、コレステロールを高濃度含む膜からは生成しなかった。Dipyrenyl-PCのエキシマー蛍光とdansyl-PEの蛍光寿命から、小さい粒子では大きい粒子に比べ、アシル鎖領域の側方圧の減小と脂質頭部付近のパッキングの上昇が生じていることが判明した。これらの結果より、大きい(9.5nm)ナノディスクの脂質二重層は平面構造をとるのに対し、小さいナノディスクでは鞍状曲面を形成することが明らかとなった。
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Research Products
(8 results)