2008 Fiscal Year Annual Research Report
超音速分子線レーザー分光による包接化合物の分子取り込み機構の解明
Project/Area Number |
20050021
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
江幡 孝之 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (70142924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 佳哉 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30311187)
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Keywords | 分子認識 / 包接化合物 / 機能成分子 / 超音速分子線 / レーザー分光 |
Research Abstract |
本研究の目的は、代表的な機能性分子であるクラウンエーテルやカリックアレンがゲスト分子を包接する機構を分子レベルで明らかに新規包接化合物の開発の基礎データを提供することである。本年度は、ジベンゾ18クラウン6エーテル(DB18C6)とカリック[4]アレン(C4A)をホスト分子、水分子や希ガスをゲストとして分子クラスターを生成させ、レーザー分光実験と量子化学計算を行い、DB18C6やC4Aがこれらゲスト原子・分子を取り込む機構および構造について研究を実施した。DB18C6については、単体ではいす型とボート型の2種類のコンフォマーが存在し、ゲストの水分子はボート型コンフォマーに選択的にbidentate型の水素結合で付着し、その構造が核となり後続の水分子が付加して水素結合ネットワークが成長することを明らかにした。 一方、C4AではC4A-Ar_nクラスターについて二波長共鳴イオン化実験を行い、C4A-Arには内包型と外側に付着した構造の2つの異性体があり、内包型がより安定であること、さらにC4A-Ar_<n≧2>では、Ar_nクラスターがC4Aに内包される構造が安定であると結論した。量子化学計算との結果から、内包型C4A-Ar_nクラスターの生成には結合エネルギーだけではなく、分子線中での衝突機構が大きく関与していることが分かった。これらのことは、C4Aに包接されるゲスト分子の設計において、親水基、疎水基の役割を考える上で重要な結果である。
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Research Products
(14 results)