2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20050025
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
野々瀬 真司 Yokohama City University, 国際総合科学研究科, 准教授 (70212131)
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Keywords | 蛋白質 / 多電荷イオン / 衝突反応 / プロトン移動反応 / エレクトロスプレーイオン化法 / 二重質量分析装置 |
Research Abstract |
孤立状態にある蛋白質の多電荷イオンと、種々のアミン等のH^+親和力(PA)の大きな気体分子との衝突反応に関して研究した。エレクトロスプレーイオン化法によって孤立状態にあるlysozyme, cytochrome c, myoglobin, hemoglobin, albumin等の蛋白質の多電荷イオンを生成させた。生成したイオンを特定の電荷数で選別した後、衝突反応セルに導き、蛋白質イオンと気体分子とのH^+移動反応について検討した。PAの大きな気体分子を、標的分子として衝突反応セルへ導入した。標的分子として1-propylamine, 1-buthylamine, pyridine, tert-butylamine, diethylamine, dipropylamine, triethylamineを用いた。蛋白質イオンを衝突反応セル中に数10ms間トラップして、標的分子と多重衝突させた。H^+移動反応によって生成したイオン種を質量分析し、検出した。特に、lysozymeについては、試料溶液にdithiothreitolを加えてS-S結合を切断した試料についても同様の実験を行い、気相中の蛋白質イオンの立体構造と反応性との関係について調べた。すなわち、生体分子の協同的な挙動を、原子・分子1個1個のレベルで直接観測した。その結果、気相中の衝突反応による、H^+移動の反応速度をひとつの指標として、生体分子の集団的な挙動を素過程に分解した。そして、孤立状態にある蛋白質イオンの立体構造と反応に関して詳細に理解することができた。その結果、生体分子の協同的・組織的な相互作用に関する詳細な知見が得られた。
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