2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20050026
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
三枝 洋之 Yokohama City University, 国際総合科学研究科, 教授 (90162180)
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Keywords | 核酸塩基 / レーザー脱離 / 超音速ジェット / 赤外振動スペクトル |
Research Abstract |
本研究の目的は、核酸塩基の水和構造を分子レベルで解明するために、これまで独自に開発を行ってきたレーザー脱離法-超音速ジェット法のパフォーマンスの最適化を行った。特に、脱離装置の改良やマトリックスの混合比を変化させることで、熱的に気化できない核酸塩基類について、安定な脱離信号が数時間にわたり得られるようになった。そこでこの手法を、熱的に気化することが不可能な核酸塩基ヌクレオシドに適用し、これらの水和クラスターを安定にかつ効率よく生成することを実証した。更に「交付申請書」に記載したとおり、この手法で生成した水和クラスターについて紫外や赤外レーザー分光を行った。グアノシンと2'-デオキシグアノシンの水和クラスターの電子スペクトルを紫外2光子共鳴イオン化法を用いて測定し、それぞれの水和物にいくつかの構造異性体が存在すると推定した。更にそれぞれの微細水和構造を決定するために、これら水和物の赤外振動スペクトルを赤外-紫外レーザー2重共鳴法を用いて測定することに成功した。この結果を量子化学計算の結果と比較することで、グアノシン2水和物で、糖の2'-OH基を含む特異的な水素結合ネソトワークが存在することを明らかにした。この成果は、多くの生体分子を非破壊的に気化し更にその水和物を効率的に生成する手法を確立したとして国内外で高く評価され、いくつの共同研究を立ち上げるきっかけとなった。従って本研究の今後の飛躍的な展開が期待できる。
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Research Products
(7 results)