2008 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質の運動と連動する水和水のコヒーレントな集団運動の探索
Project/Area Number |
20050030
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中迫 雅由 Keio University, 理工学部, 教授 (30227764)
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Keywords | 蛋白質水和 / 蛋白質結晶学 / 分子動力学計算 / 酵素容蛋白質 / 水和場 / 水分子ダイナミクス / 計算科学 / 基質結合 |
Research Abstract |
シタロン脱水酵素変異体、アリールマロン酸脱炭酸酵素のリガンド非結合状態の分解能向上を図り、それぞれ、1.9A、1.95A分解能での結晶解析を行った。またアリールマロン酸脱炭酸酵素のリガンド結合状態の構造を1.45A分解能で解析した結果、反応中間状態を捉えていることが明らかとなり、補強データを得るために、生化学的実験を実施した。超高度好熱菌由来の多重基質認識型アミノ基転移酵素については、そのリガンド非結合状態の立体構造を3.0Aで解析し、なぜ、多様な基質特異性が現れるのかを議論できる基礎データを得た。超高度好熱菌由来のグルタミン酸脱水素酵素においては、補酵素NADを得、データ収集を行った。まだ分解能が低いために、今後、結晶化条件改善などが必要である。さらに、光受容蛋白質フォトトロピン1と2の光受容ドメインの結晶構造解析が完了した。 超高度好熱菌由来のグルタミン酸脱水素酵素の分子動力学計算結果から、これまでに開発してきた空間分割による水分子の運動解析プログラムを踏まえ、蛋白質の自発的構造揺らぎとそれに付随した水和構造の変化について解析を行うためのプログラムを作成した。特に、蛋白質のドメイン、フラグメント運動に不可欠な水分子のコヒーレントな集団運動を探索することを試みた。まず、BPTIと呼ばれる小さな蛋白質の分子どう力学計算結果に対してベンチマ-クテストを行うとともに、水に関する分子動力学計算の論文を参照しながら、どのような物理量によって水の集団運動、クラスターサイズやその寿命などについての特徴づけを行うのが最適なのかを検討した。また、プロテインデータバンクの座標から水和構造の特徴を抽出して蛋白質極性原子団周辺の水和水確率分布関数を得るとともに、その関数を用いた水和構造予測を可能とするアルゴリズムを開発した。
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