2008 Fiscal Year Annual Research Report
界面機能の単一分子分光とフェムト秒近赤外分光による研究
Project/Area Number |
20050031
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
玉井 尚登 Kwansei Gakuin University, 理工学部, 教授 (60163664)
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Keywords | 水素結合 / 倍音ダイナミクス / フェムト秒近赤外分光 / 半導体量子ドット / オージェ効果 / 発光明滅現象 / 拡散 |
Research Abstract |
1. 倍音ダイナミクスのフェムト秒近赤外分光フルオレノン-フェノール水素結合系の電子励起に伴う水素結合ダイナミクスを近赤外分光で解析した。この系は, 水素結合OHの倍音が1439nmにあり, 温度上昇と共に倍音吸収が短波長シフトするが, 温度と共に自由なOHが増えたことを示す。フルオレノンを電子励起すると, 近赤外領域の過渡吸収分光で1423nmに微弱なOH倍音ピークが観測された。この倍音吸収は, フルオレノンのエキシマー生成時間と同程度の20psの時定数で増加し, 110psで緩和した。この事から, 電子励起によるエキシマー生成に伴って水素結合が切れ自由なOHが増え, 基底状態への緩和に伴い弱い水素結合が再び生成する事が明らかとなった。 2. 界面における半導体量子ドットの単一微粒子分光水溶性CdTe QDsのトレハロース薄膜の発光明滅現象の環境依存性を解析したところ, 空気条件よりも窒素やトルエン蒸気下でon-timeの分布が長くなった。この結果は, オージェ効果で発生した電子捕捉が環境で変化する事を意味している。トルエン蒸気に10分程度さらした試料では, CdTe QDsが界面で拡散を行う様になり, トルエン蒸気が無いにもかかわらず, 数時間後だけでなく数日経過後もQDsの拡散が見られるという界面の特異現象が観測された。また拡散定数の解析から, 表面の自由拡散とトレハロース内部の制限拡散が観測され, 3桁近く拡散定数が異なっていることが明らかになった。 3. 半導体量子ドットのオージェ効果に及ぼす界面効果チグリコール酸(TGA)とオレイン酸(OA)で保護した同じCdTe QDsのオージェ効果に及ぼすサイズ依存性を過渡吸収分光で解析した。その結果, オージェ効果の緩和時間τ_<Auger>は, 粒径D^αに比例するが, TGAとOAで指数αが大きく異なり, 運動量の不確定性の大きな界面効果を強く受けることが明らかとなった。
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Research Products
(17 results)