2008 Fiscal Year Annual Research Report
電子伝達蛋白質複合体の構造化学的解明とその会合・解離の分子機構
Project/Area Number |
20051002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石森 浩一郎 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (20192487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内出 毅 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (30343742)
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Keywords | シトクロムc / シトクロム酸化酵素 / X線小角散乱 / 回転半径 / 散乱曲線 |
Research Abstract |
本研究課題で得られた成果は以下のとおりである 1 X線小角散乱法測定用試料調製の条件決定 X線小角散乱の実験においては, 完全酸化型のウシ由来CcOを可能な限り単分散状態にて調製し, そのX線小角散乱パターンを約2.2mのカメラ長で計測した. 露光に際して試料に蓄積する放射線損傷の程度を20〜30度の範囲で検討し, 安定かつ定量的に測定できる25度で実験を行った. このような測定条件下でCcOの分子形状に関する情報を得るため, 異なる蛋白質濃度の試料を6点調製し, それぞれの散乱パターンを計測したところ, 散乱曲線の濃度依存性は比較的に小さく, この結果は界面活性剤をまとったCcO分子が溶液中で均一に分散していることを示唆していた. 2 CcOのX線小角散乱測定とその形状の推定 散乱曲線の無限希釈によって粒子間干渉効果を補正した結果, CcOの回転半径が約51Åと見積もられた, この測定結果の再現性を, 異なる試料ロット, 異なる精製方法で確認したところ, 回転半径の試料依存性は比較的小さく, 試料間の差は最大2%と見積もることができた. つまり, 溶液中でのCcOの回転半径は, 試料ロットや精製方法にかかわらず, ほぼ一定で約51Åであることが明らかとなった. ここで見積もられた回転半径は, 既に報告されているCcOの結晶構造をもとにして算出された回転半径(約50Å)とよい一致を示している. 一方, 原点散乱強度から推定される見かけの分子量は, 415±20kDa程度となり, その試料間の差は最大4%であった. ここで得ちれた見かけの分子量は, CcOが溶液中では二量体を形成していることを示しているが, 従来のゲルろ過による結果とは異なっており, 今後, 実験条件の比較, 検討が必要である.
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