2008 Fiscal Year Annual Research Report
ボツリヌス神経毒素複合体赤血球凝集因子の腸管上皮細胞バリア通過機構解明
Project/Area Number |
20051011
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
北所 健悟 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 准教授 (60283587)
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Keywords | ボツリヌス毒素 / 赤血球凝集因子 / 結晶化 / X線構造解析 |
Research Abstract |
ボツリヌス神経毒素は、ボツリヌス菌(Clostridium botulimm)が産出する分子量約150kDaの毒素タンパク質で、シナプスのSNAREを切断して宿主を麻痺させる。ヒトに感染し、最も毒性が強いB型毒素が有する赤血球凝集因子(Hemaggulutinin : HA)は、3つのsubunit(HA-1、2、3)を有し、腸管上皮細胞表面のTight Junctionのタンパク質群を分散させて、細胞バリアを通過する。これらの構造決定により、ボツリヌス毒素分子のバリア通過機構のメカニズムを原子レベルで解明する。これらの成果は、ボツリヌス神経毒素複合体の厳格な分子認識作用を利用した応用技術や、細胞内デリバリーのシステムを利用した新規な薬剤の開発につながるものと期待できる。 今回、B型ボツリヌス菌由来のHA-3の結晶化を行い、SPdng-8のBL44XUにて3A分解能の回折データを測定した。水銀誘導体を用いたSAD法により、立体構造を決定した。その結果、HA-3は結晶中では4分子存在し、活性型として3量体構造を取っていた。HA-3のモノマーは2つのサブユニットからなり、β構造を多く有していた。3量体の中心には直径22Aからなる孔が形成され、clyoprotectantとして用いたトレハロースが1分子結合していた。このことから、HA-3の孔を利用したドラックデリバリーシステムの応用への可能性が示唆された。
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